
複眼視的な思考力と高い技術力,柔軟かつ適確な判断力を備えたeビジネスのリーダーを育成する。
現在,あらゆる業種において,グローバルな規模の激しい競争が生まれ,いずれの企業にとっても,経営戦略の策定が極めて重要になっています。すなわち,「強み」(Strength),「弱み」(Weakness),「機会」(Opportunity),「脅威」(Threat)という視座で自社の組織分析,自社を取り巻く環境分析(SWOT分析)を行い,目的を達成するための手段(CSF:Critical Success Factor)と目標達成の測定尺度(KGI:Key Goal Indicator)を設定するなどして,経営戦略を立案することが必要です。
製造業を例にとると,家電製品が一通り各家庭に行き渡るまでは,大量生産によって安価に製造した製品を店頭に並べるだけで顧客に購入してもらうことが可能でした。しかし,市場が飽和してくるとモノは売れなくなり,個人のニーズを掘り起こす必要が生じてきたのです。また,多様化する顧客の要求に合わせるため,商品開発のサイクルが短くなるとともに,多種多様な商品の製造が求められています。
このように企業にとっては,時代に沿った新たな経営戦略の立案とその実現が急務となっています。企業の経営戦略とIT(ICT)は密接に関係しており,経営戦略を実現していくプロセスにおいては,IT(ICT)の導入の成否が企業の命運を決するといっても過言ではないでしょう。
これからのビジネスシーンにおいては,
などが求められます。つまり,ウェブ技術を基幹とするITスキルと,マネジメントスキルを兼ね備えた人 材が求められるといえます。

しかし,現在,このようなスキルを持ち企業の変革を推進する人材が不足していることが,産業界において大きな問題となっています。ともすると,ITスキルを有するエンジニアはマネジメントに疎く,逆にマネジメントスキルのある者はIT(ICT)に疎いという傾向が見られます。その結果,適切なIT化が進まず,あるいはIT(ICT)を導入しても十分に活用できず,こうした点が企業の生き残りに関わってくる例も多々見られます。かつては情報システムが企業の経営に大きな影響を与えることは少なく,また経営のトップレベルでは情報処理・ITの専門家がさほど必要とされず,ジェネラリストを重視する日本企業の伝統により,高度の技術専門職を敬遠するといった傾向すら見られました。
しかし,企業経営と情報システム管理が密接に関係するようになった現在においては,IT部門にいかに有能な人材を配置するかが企業の存続にも関わる重要課題となっています。経営のトップレベルで経営戦略を策定する際に,IT専門家の存在が不可欠となっているのです。
本学では,産業界のこうした課題への対応として,最先端のIT(ICT)と企業経営についての十分な知識を有し,変革を着実に遂行できるITプロフェッショナルズを育成します。いずれも情報系・経営系といった二つ以上の専門領域にわたるプロフェッショナルズであり,従来の研究大学院では育成が困難な専門職業人です。本専攻は,業界が求める高度なIT関連スキルと経営の専門知識を兼ね備えた,高度専門職業人を育成します。
IT(ICT)を活用する高度専門職業人に求められる能力としては, 以下のものが挙げられます。
秒進分歩ともいえるIT分野の変化に対応するためには,まずは不易ともいうべき従来の情報分野の基礎的な理論を押さえることが肝要です(1)。その上で進歩する最先端のIT(ICT)を理解することが求められます(2)。さらに,ITスキルを企業活動に活かすため,企業経営に関して深く理解することが必要です(3)。これらの知識を実際に活かしてビジネスを遂行するためには,実践的な能力としてのリーダーシップ,企業内教育能力や,それらを礎にしたプロジェクト企画力・実行力が求められます(4)。
コンピュータ技術は黎明期から,その応用分野に二つの大きな流れがありました。一つは科学技術計算への応用であり,もう一つは企業活動への応用です。コンピュータ技術・ITの発展に伴い,そのソフトウェア技術や利用の方法論は,これら二分野の間で次第に異なったものとなってきています。特に,企業活動への応用においては,単に技術的なことだけではなく,企業経営手法の知識・ノウハウとの密接な連関が重要であり,純粋な意味でのコンピュータ技術,コンピュータ・サイエンスとは一線を画した専門分野が展開されています。このような専門分野は「情報システム技術」あるいは「IS(Information System)技術」と呼ばれています。
現在では「情報システムはウェブベース」という考え方が標準になり,「eビジネス/ウェブビジネス」という新しいパラダイムに基づいて企業活動全般を再考しなければならなくなっています。21世紀初頭の急速なインターネット技術の浸透に対応して,カリキュラムを柔軟かつ臨機応変に改編する必要が生じてきたといえます。
本専攻のカリキュラムは,最先端のIT/IS教育を行うべく,技術的科目については,米国の情報系学会であるAIS(Association for Information Systems)とACM(Association for Computing Machinery)が共同開発した修士課程用のISモデルカリキュラム“Masters in Information Systems: A Web-Centric Model Curriculum”に準拠し,さらにわが国の状況に適合させるべく配慮しています。
また,将来の目標に応じてより専門的に学べるように「ウェブビジネス技術コース」と「ウェブシステム開発コース」の二つのコースを設けています。