概要
データサイエンスは,近年,注目されるようになった情報系の分野です。最近,大規模な蓄積データを種々のIT応用分野で効果的に活用する必要性が叫ばれるようになっています。そのためのデータ管理技術,データ分析法を研究・教育する専門分野です。データ管理・データ分析に関しては,早くからデータベース技術や統計解析法が広く用いられてきましたが,最近の爆発的に出現する巨大データ(ビッグデータ)を扱うためには旧来の技術では対応できなくなり,ハードウェア分野でもソフトウェア分野でもさらに高度なデータ処理技術が必要となっています。
データサイエンス専門分野では,そのような状況に対応するための知識と技術を身につけ,ビジネスにおける高度なデータ利活用について学びます。
目指す人材像
- 情報資源の抽出・活用(データマイニング),市場分析などを行うアナリスト
- 製品計画に関する助言や指針を提供するコンサルタント
- データに基づいて企業の戦略立案・推進などの意思決定ができるCIO
- 消費者行動の記述モデルと戦略/予測モデルの構築を行うCRMマネージャー
過去のマスタープロジェクトのテーマ
- コホート分析におけるe-カスタマー購買行動パターンモデルの検証
- パルモア型コホート分析によるプロモーション手段の分析
- AHPによる7Steps顧客行動プロセスにおける動機付与の重要度の分析
- クラスター分析による顧客タイプの戦略的な分類
- 中国からの利用が急増するインターネット通販を利用した商品購入の仕組みについて
- 製品・サービス開発でのUX(User-Experience)の重要性とその成功事例について
マスタープロジェクト担当教員の声
寺下陽一教授
私の指導するプロジェクトは,データの蓄積と管理・分析を行う手法の研究と実地経験です。基本になるのは従来からのデータベース管理技術でありますが,最近の大規模データ(ビッグデータ)の出現に対応して,新しいデータ管理技術の応用も体験してもらい,多くの先端ビジネス系IT企業で活躍できる人材の育成を目標としています。この専門分野の名称に示されているように,これらのデータ管理技術は「データサイエンス」と呼ばれるようになり, ITの基盤として今後ますます重要となる分野です。
マスタープロジェクト担当教員の声
甲斐良隆教授
手書き帳票が主流であった時代はもとより,これまで,データ入手には多くの人手と時間が不可欠でした。しかしながら,インターネットや検索手段の急速な発展により,データは誰でも低コストで容易に手に入るものへと変わってきました。今や,データ氾濫の感さえあります。
ところで,データは文字や数字の羅列に過ぎず,それ自身何ら意味を持ちません。収集したデータを価値ある情報に転換,さらに活用していく仕組みが必要であり,そこには,まだ多くの課題が残っています。統計学,AIをはじめ,心理学や進化論まで多くの学問分野が融合し始めた日進月歩の世界でもあります。
ビジネスにおける実践とは,「データ⇒情報⇒戦略」と繋げていく活動と考えられます。優れた戦略を生み出せるかは,ビジネスの目的に応じた適切なデータ選択と加工が鍵になります。マスタープロジェクトを通じて,実務上の課題をテーマに,このプロセスを体現します。