私は日本IBM株式会社で,HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)といわれる科学技術計算のエリアを長く担当していました。高速に計算するには,ハードウェア的なVLSIやCPUの設計が重要なのはもちろんですが,ソフトウェア的な負荷分散や並列処理などの技術も重要です。1997年にIBMのDeep Blueというコンピュータが,その計算の高速性により,当時のチェスの世界チャンピオンを破ったのは有名です。ただ,このHPCのエリアは,IBM全体のビジネスに占める割合としては,ニッチなエリア(顧客は少数)であり,その多くの部分を占めるのは,金融・流通・製造・事務処理などの商用系(コマーシャル系)の顧客でした。
私は本学で,この商用系の企業が利益を上げるために重要な技術である,ERP(企業資源計画)に関連する授業を担当しています。ERPは企業が持つ人・物・金・情報という経営資源を,企業グループ全体で統合して一元管理するという概念で,最近では多くの企業が取り組んでいます。授業では,ERPパッケージとして世界で最もシェアを占めているドイツSAP社のSAP ERPを使用して実習を行っています。学生の皆さんがこのパッケージに精通し,良い条件で就職活動をされることを望んでいます。
本学では,このようにITと経営の両面を学ぶことができます。私の世代の技術者・エンジニアは,ITは若いころから学びましたが,経営を意識するようになるのは,企業の中で中堅管理職の年代になってからでした。その経営の知識・センスを本学では学生の時に身につけることができます。本学でITと経営の両方のスキルを備えた人となり,将来広く世界中で活躍されることを願っています。