私の専門分野はグローバル製造業の情報システム管理です。長年にわたり,三洋電機株式会社の国内外工場での生産管理システムの開発,本社でのグローバル経営管理システムの開発,海外工場システムの標準パッケージソフトの開発と,その新バージョン開発(ERP化),国内家電SCMシステムの開発などを経験してきました。そして,企業での最終職歴は社長に情報システムの提案を行う,いわゆるCIOの立場の仕事でした。
グローバル製造業の代表的なビジネスモデルは,日本で製品開発を行い,最適地で調達・生産を行い,そして世界中にその製品を販売するものです。それらを効率的に行うには,製品技術情報が世界中に提供され,世界中の生産販売活動情報が企業全体で共有化される仕組み作りが必要で,そのためには情報システムの活用が不可欠です。また,経営者はグローバルなビジネスの結果をできるだけ早く把握し迅速な経営判断を行う必要があり,そのためにもグローバルな連結経営管理システムが必要となります。
これらのシステムを構築するには,すべての生産・販売拠点のシステムについて標準化・統合化を行わなければなりませんが,それには言語,文化,距離,時差,ITインフラ等の違いがあり多くの困難を伴います。しかし,日本企業・経済が今後も成長を続けていくためには,これらは解決されるべき課題であります。そして,これらの課題を解決するベストな手段はERPをグローバルに導入することでしょう。日本企業だからといって,日本独自の経営スタイル・管理手法を世界中に押し付けることは不可能です。しかし,逆に欧米で開発されたERPをそのまま使用することは,日本企業の「強み」を損なう危険性をはらんでいます。例えば,日本製造業の最大の「強み」である「高品質なもの作りのノウハウ」は損なわれないでしょうか。
日本企業の「強み」を生かしながらのERP開発導入を学生の皆さんと共に研究したいと考えます。