教員養成大学を卒業後,兵役を終えた私は,プラハ(チェコ共和国)のカレル大学,ロモノソフ大学で数学を専攻しました。卒業後はカレル大学数学物理学部で教職に就き,以降30年以上にわたり教育・研究に携わりながら,同大学にコンピュータ科学・オペレーションズリサーチ学科を設置しました。また,ヨーロッパ,日本,アメリカの多数の大学・研究機関に客員研究員・教員として従事しました。
種々の意思決定に際して,「可能なソリューション群の中から有効なもの,できる限り最良なものをどうしたら探し出せるのか。」という問いは古くから存在し,今でも多くの分野でよく提起されています。この数十年の間で,コンピュータの性能が急速に向上し,情報記憶能力やデータ操作技術が進歩したこと,そして問題解決への定量的アプローチの発展によって,実用性の観点からも理論的観点からも興味深い,新しいタイプの意思決定問題が出現しています。意思決定問題には,莫大な数の変数や制約があるもの,極めて非線形であるもの,また内在する組み合わせ的爆発性を特徴としているものがあります。このような数多くの興味深い(難解な)問題の中で,私は現在以下のことを中心に研究しています。
- 集団意思決定による最適化問題,競合解消,公平分配
- コンピュータや製造システムのスケジューリングで生じる組み合わせ最適化問題
- 機械学習,パターン認識,神経回路網等,人工知能への線形・非線形計画法の応用
講義では学生の皆さんに,物事を批判的に捉え,思考し,論理的に分析する能力を高めてもらいたいと思います。また,事実を学ぶだけではなく,理解を深めるために,意見交換がしやすい環境を作りたいと考えています。コンピュータを駆使した環境においても,純粋な考えを持つ人間は,思考能力のないコンピュータより優れています。B.Russellが言うように,絶対的確信を持たないことが,理性(合理性)における本質的要素の一つであるということです。