現代は情報社会といわれ,インターネットの空間には世界中の情報が集められており,検索すれば,情報が山のように降り注いできます。このようにネットワークが発展する以前は,必要な関連分野の知識を獲得するため,書籍や論文を集めてそれらに目を通すことが,研究・開発業務においては必要不可欠でした。そのための手段の確保や,取得までの時間等が必要で,瞬時に情報が得られる現在とは比べものにならないゆったりしていた時代であったとはいえます。現在では,書籍にしても電子化された形で,簡単に,どこでも表示して見ることができるようになってきました。知りたい事柄もインターネットの宝庫(?)からは,すべてに目を通すのが困難な大量の情報が出てきます。しかし,それらは玉石混淆で,その情報の価値判断が簡単ではないのが実情です。特に,専門から少し離れた分野の場合は初見ではきわめて難しい場合もあります。有用な信頼できるものを抽出するためには,いろいろな観点から,その本質を見極めるような目を備えるように,常に研鑽していくことが必要であろうと考えています。
私の元々の専門分野はイメージプロセッシング(画像処理・表示)で,例えば医療現場で撮像される画像データから,診断・治療等に必要とされる情報を抽出するため,体内臓器や血管の自動抽出と診断情報の表示等の研究や,写真画像の傷補正,感性を重視した画像修正法,動画像からの対象物の状況把握など,人がやれば感覚的には簡単にできると思えることでも,実は定量的な意味では難しい事柄をコンピュータで処理実行する方法などを開発してきました。基本姿勢は,人が判るならコンピュータもできるであろうと信じて取り組むということだった気がします。
情報はその気になって適正なものを抽出しないと,ノイズあるいは偽の情報におぼれてしまい,真実を手に入れることはきわめて困難となります。何が適正なものであるかは,皆さん方が本気になって取り組めば,どのような分野であれきっと見えてくると信じています。実社会での応用が利くIT技術者の巣立ちを楽しみにしています。