現代は情報化社会といわれ,事実私たちの周りには情報があふれかえっています。10年前でも,世界の各所にある情報(知識)の存在については現状とそれほど相違があったわけではありませんが,現在ではネットワークの発展により,各種媒体へのアクセスがきわめて容易となり,クラシカルな手段では手に入れるのが早くても週単位であったようなもの(手紙や書籍,CDなど)が,地球の反対側からでも,即時に(電子的に)手に入る時代となりました。このようなあふれかえる情報時代においては,その中から価値のあるものを見出し,また,より以上の価値を付した情報を創造し,発信することが求められることになります。技術の取得のみならず,その本質を見極めるような目を備えるように研鑽してゆくことが強く求められます。
私の専門分野はイメージプロセッシング(画像処理)で,特に力を入れて研究してきたのは,医用画像の処理でした。医療現場で撮像される臨床画像から,診断・治療等に必要とされる情報を抽出するため,体内臓器や血管の画像の自動抽出を行い,それらを診断情報に変換できる形に表示することなどを行ってきました。また,写真画像の傷補正や,感性を重視した画像修正法に関する研究,動画像からの対象物の状況把握に関する研究など,人がやれば感覚的には簡単にできると思える(実は定量的な意味では簡単ではない)ことをコンピュータにうまくやらせる方法の研究などを行ってきました。基本姿勢は,人が判るならコンピュータもできるであろうと信じて取り組むということだった気がします。
情報はその気になって適正なものを抽出しないと,ノイズあるいは偽の情報におぼれてしまい,真実を手に入れることはきわめて困難となります。何が適正なものであるかは,皆さん方が本気になって取り組めば,どのような分野であれきっと見えてくると信じています。実社会での応用が利くIT技術者の巣立ちを楽しみにしています。