担当科目は,「ネットワーク特論・情報倫理」と「情報セキュリティ/PKI」です。情報システムの構築・運用において,ネットワークとセキュリティは,相補的な車の両輪のようなものです。ネットワーク化により,情報システムの利便性は高まりますが,それに比例して,セキュリティリスクも高まります。情報システムを最適に構築・運用するためには,そのバランスを常に念頭に置くことが重要です。しかも,ネットワーク技術,セキュリティ技術とも,互いに競い合うごとく日々進化しています。情報システムの進歩,利用拡大とあいまって,ネットワークは,日々高速広帯域化が進んでいます。「ユビキタスネットワーク社会」という標語のもと,あらゆるモノがネットワーク化される方向にあります。車や情報家電はもちろん,大根1本,そしてそれを収める冷蔵庫までがネットワークにつながってきます。その一方で,クラウドコンピューティングに代表されるように,高速広帯域ネットワークの存在を前提に,ハードウェア,プラットフォームからソフトウェア(アプリケーション)のデータセンターへの集中化が進んでいます。ユーザは,ネットワークを介して,電気や水道のように計算資源を使うことができます。
もちろんこのようなサービス環境は,強固な情報セキュリティの上で実現できるものです。個人情報の漏洩,コンピュータウイルスへの感染,ウェブサーバへの侵入とページの書き換え,eコマース詐欺等々。これらに起因する被害の規模も,ネットワーク化の進展に比例して増大しています。かといって,もはや「鎖国」の時代に逆行することは現実的な解ではあり得ません。そこで状況に適したバランスあるソリューションが要求されるわけです。言うは易く行うは難しですが,避けて通ることは許されません。
これから入学される皆さんには,理論および実践の両面でのバランスを取りながら,最新のネットワークおよび情報セキュリティ技術の修得にチャレンジしていただきたいと思います。また技術を使うのはあくまでも人間です。放送と通信の融合,オンデマンドコンテンツ配信など,著作権などの法的な課題を含む新しい潮流も大きくなってきました。情報通信技術とそれを使う上での情報倫理が,社会システムにおいて果たす役割についても考えを巡らす機会を持っていただくことを期待します。