私はこれまで 「アルゴリズム」「計算の複雑さの理論」「最適化とその応用」といった分野の研究を行ってきました。とくにさまざまな離散最適化問題をいかに解決するかに興味をもち,そのためのアルゴリズムを開発してきました。離散最適化というと抽象的ですが,時間割や勤務表の作成,地図上の最短路の計算(カーナビ),狭い領域にできるだけ隙間がないように箱を詰める問題(VLSI, 建物の間取り,トラックへの積み込みなど),列車ダイヤの作成,工場での生産スケジューリング,スポーツやゲームの対戦計画など,身近な所にそのような問題がふんだんに存在しています。
実はこれらは数学的に大変困難な問題なのですが,最近のアルゴリズムの進歩によって,実用的な意味で扱えるようになってきています。しかし,それこそ無限にある個別の問題それぞれに高度なアルゴリズムを開発するのは大変で,現実には不可能です。そこで,いくつかの標準問題を設定しておき,具体的な問題に遭遇すると,それを標準問題の一つにモデル化した後,標準問題のアルゴリズムを適用することで解決を図るという方針を考えています。線形計画法や整数計画法はこの目的に利用できる汎用アルゴリズムとしてよく知られていて,商用パッケージも手に入れることができます。しかし,これだけでは十分でないため,我々の研究では,新しい標準問題の選定とそれらに対する汎用アルゴリズムの開発を集中的に行ってきました。開発したアルゴリズムの一部はすでに商用のソフトウエアに組み込まれて,さまざまな分野の問題解決に役立っています。また,我々自身も具体的な問題を取り上げて,それらの解決に利用する試みを続けています。
離散最適化の基礎理論は,「グラフ・ネットワーク理論」「整数計画法」「メタヒューリスティクス」「分枝限定法」「論理関数」「アルゴリズム理論」といった分野で研究されています。私のこれまでの研究論文はこれらの分野における数学的な結果を述べたものが多いのですが,最近では,応用へ興味を向けています。京都情報大学院大学においても,汎用アルゴリズムという財産を利用して,皆様と一緒に,興味深い問題を見つけて,それらを解決していきたいと思っています。