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設立に寄せて

開学に際し,本学の新たなるIT教育への挑戦に国内外より数多くの激励のお言葉を賜りました

株式会社堀場製作所 最高顧問 堀場 雅夫氏

設立発起人
株式会社堀場製作所 創業者

堀場 雅夫氏(故人)Masao Horiba

堀場製作所は社是として「おもしろおかしく」を掲げています。これを掲げねばならないほど,日本では学問・技術の習得においても仕事においても,「難しいもの」,「しんどいもの」という意識が先行しているのです。

学ぶこと,技術を習得すること,もの作りの作業に従事すること,これらは本来面白いものなのです。日本の偏差値教育では,この面白さを教えていません。

人間は他の動物より,本来好奇心の旺盛な生き物なのだから,この本性に基づき「興味・関心を持たせ育てる」ことが教育の原点でなければなりません。

興味・関心をスタートとして,真理を究明する面白さ,技術を磨く面白さを教えることは,知能教育の重要な側面です。

日本では,600以上の大学がありますが,これらの大学で学ぶ学生のすべてが研究者になるわけではありません。80%は社会へ出て,自営業に従事し,また業界で働くのですから,一般大学は「社会のニーズ」にもっと敏感に対応せねばなりません。このことに目を瞑り,旧態依然とした教育をするから教える学問が生き生きとしていないのです。

「生きた学問」とは,「実際に役立つ学問・技術」であり,しかも「新しい時代に即した学問・技術」でしょう。ただし,よく言われる「即戦力教育」というものは,私は信用していません。学術面での基本ができていれば,どんな技術でも消化していけるのですから。特にコンピュータのように進化の速い技術の世界では,本物の教育が肝要です。京都情報大学院大学が本物の教育としての根幹を大事にして「生きた学問・技術」を「おもしろおかしく」教える大学院として発展していくよう望みます。

現在,大学の独立行政法人化などの改革が進められていますが,これからは,どのような独自性において大学・大学院を運営させていくか,教育管理・運営者の才覚が問われると思います。

今までは,大学設置,大学院設置では教育内容と個々の教授の論文・業績の評価に審査の重点がおかれていたようです。今回,専門職大学院などで教授陣への実務家登用が推奨されていますが,単に教員採用の間口を広げるだけでは,改善の域を出ません。

どのような理念と哲学で,どのような時代ビジョンで大学を運営していくか,大学のリーダーシップが改革の核心です。新しいタイプの専門職大学院のモデルとなるような大学院の誕生を願うものです。

京都にはベンチャー大企業が綺羅星のごとく並んでいますが,京都には本物志向の伝統があり,また,革新的なものが生まれ育つ土壌があります。そういう意味で,実務家育成の専門職大学院設立には,地の利を得ていると言えます。最後に,京都弁ですが「この種の大学院はとにかく早よう,何よりも早よう,つくらなあかん」の一言を結びとします。


2003年 京都情報大学院大学設立に際して

2015年7月14日 永眠