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2008年4月 前途洋々たる諸君へ

この度,情報系専門職大学院の,日本における嚆矢である京都情報大学院大学の初代学長 萩原 宏先生の後を引き継ぎ,第2代の学長を務めることになりました。その責任の重さに感じ入っている次第です。よろしくご指導,ご援助を賜りますようお願い申しあげます。

KCGグループの京都情報大学院大学および京都コンピュータ学院の入学生,在学生および卒業生の諸君,すなわち前途洋々たる諸君,KCG グループへようこそ。心から歓迎いたします。なぜ前途洋々たる諸君と申しあげるかは,これから説明します。

数の概念は,生物としての人間の本質的な発展過程に,強く関わってきたといえます。単なる思い上がりかもしれませんが,人類を他の地球上の生物と区別することができるのは,数の概念の深さの差であるかもしれません。例えば“零”という概念の発見は人類の発展に大いに寄与しました。また,情報という概念と人間の行動との関係の深さも特筆すべきものと考えます。同様に,数の概念と情報の関係の深さも重要です。数の概念と,情報の概念,人間の行動は互いに密接に,抽象的にも具体的にも関わり合っていると考えるべきです。すなわち,情報技術の専門職大学院での活動は,人間の社会活動のかなりの部分と密接に関係しているのです。もちろん,一人の人間がこれらの活動の全部分を担当できるわけがありませんから,本学では多種の応用情報技術を豊富な実務経験とともに専門に持っている教員が学内外で活動しています。研究教育活動の広さから,本学に入学された諸君にとって,自分自身の意向に沿った専門分野を見つけることは,困難ではないと考えています。勉学意欲を大いに発揮していただきたいと願っています。

一般に「学問に王道なし」といわれます。受動的な活動では大きな成果は得られません。古来,「我思う,故に我あり」という言葉がありますが,本学における教育,研究活動には積極的に参加していただかなければなりません。知識というものは他者から与えられるものばかりではなく,自ら勝ちとるものです。前途洋々たる未来を切り開いてください。

本学における活動を開始する際に,もしかすると,教育的観点から,一見迂遠な方向性を勧められることがありましょう。情報分野の研究において,あるいは情報分野の基礎として,数学的な基礎知識が要求されることが多くあります。例えばいわゆる「離散数学」は情報学の一般的な基礎であると考えられています。したがって,ある種の分野においては,必ず勉強しておかなくてはならない基礎なのです。基礎的な考えを重視する「急がば廻れ」です。しかし,基礎教育は実務応用を中心として,極めて丁寧に行われます。

本学は,入学される方々に対して,理工系の学部を卒業していることを要求していません。文系の方々の進路変更も歓迎しています。また,すでに実社会で活躍されておりキャリアアップを目指される方々にも,年齢,経歴を問わず門戸を開いています。多岐多様にわたる背景を持った学生が一堂に会することによって切磋琢磨し,これまでの研究大学院では得られなかった,極めて深いけれども狭くない教育,研究が達成されるものと信じています。すなわち,勉学意欲,キャリアアップ意欲等が高まった時期が勉学開始時期となるため,極めて効率よく教育,研究が進むものと確信できます。また,キャリアチェンジも可能になります。私ども現代人の平均余命の長さも,勉学意欲,キャリアアップ意欲をいつでも後押ししてくれるものと思います。

本年,京都コンピュータ学院は創立45周年,京都情報大学院大学は創立5周年を迎えようとしています。双方とも,基礎的な学問分野の重要性を忘れることなく,常に最新の情報関連の応用技術を追究できる,実践力,創造力のある人材を育成すべく,努力を続けていく所存です。

これからの更なる情報化時代を担い,中核として持続的かつ積極的に活躍しようとする前途洋々たる諸君の入学を心から願っています。

長谷川 利治