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長谷川 功一

Koichi Hasegawa

経歴

  • 北海道大学工学士,(米国)ペンシルバニア州立大学大学院修士課程修了,Master of Arts,北海道大学文学研究科博士課程修了,博士(文学)
  • 元NHK報道カメラマン
 

メッセージ

私の専門領域は,映像制作と映画研究です。映像に対して,実践と理論の両面からアプローチしてきました。実践の現場はテレビ報道です。

NHKと民放で合わせて20年以上,報道撮影の業務に従事してきました。私がNHKに入局したのが平成元年,その時から今日まで,変動する平成日本の姿をさまざまなアングルから切り取ってきました。

他方,アメリカ映画を中心にして映像の理論的研究にも積極的に取り組んできました。この分野では,映像理論や歴史的資料を駆使して,フィルム・ノワール,SF映画,自動車映画という,極めてアメリカ的ともいえる(サブ)ジャンルを取り上げて体系的に分析し,そこに隠された文化的意義について考察してきました。

報道撮影と映画研究,一見すると,同じ映像媒体といっても異なる性格のもののように思えますが,私にとってはどちらも,映像に対する強い関心の表出にほかなりません。実践と理論の両方向から考えることによって,映像メディアを総合的な観点から理解しようと努めてきました。

以上のような経験と知見を生かして,現在はリッチメディアコンテンツの開発・研究に取り組み始めました。

かつては放送局の特権だった映像の制作と発信は,デジタル機器の低廉化とネット社会の到来によって,すべての人に開かれた表現手段のひとつへと変わりました。この新たな映像時代にふさわしい,効果的なメディアコンテンツを作るには,どうしたらいいでしょうか。

この問いに対する答えは発展途上です。私も取り組み始めたばかり。みなさんといっしょに考えましょう。

担当科目

  • 映像構成論

専門分野

  • 映像制作
  • 映画研究

業績

著書

  • 『アメリカSF映画の系譜 - 宇宙開拓の神話とエイリアン来襲の神話』,リム出版新社,2005
  • 『カーチェイス映画の文化論』,リム出版新社,2006
  • 『ニュース映像とは何だろうか - テレビ報道撮影の舞台裏』,オン・ブック社,2007
  • 『カーチェイス表象の探究 - ハリウッド最大のスペクタクルの映画史』,溪水社,2018
  • 『銀幕の松田聖子 - 伊豆の踊子・ハワイ・東京ディズニーランド・教会結婚式から見えてくる1980年代』,溪水社,2021
 

学術論文

  • “The Conquest of Inner Space: 2001: A Space Odyssey and the Counterculture”, Film and History 2003 CD-ROM Annual所収, 2005
  • 「チェイスとモダニティ - ロイドの『要心無用』(1923)における時間と運動の表象」,『アメリカ研究』(日本アメリカ学会),第43号,pp.213-228,2009
  • 「機械と運動 - キートンの自動車ギャグについての考察」,『映像学』(日本映像学会),第82号,pp.24-39,2009
  • 「ギャングとカウボーイ - 『ハイ・シェラ』と1930年代ギャング映画サイクルの終焉」,『映画研究』(日本映画学会),第4号,pp.42-57,2009
  • 「ロイド的運動としての乗り継ぎチェイス - セネット喜劇と『猛進ロイド』(1924)の比較分析から」,『映像学』,第85号,pp.39-55,2010
  • 「赤狩りとジョン・ヒューストンの作家的転換 - フィルム・ノワール『キー・ラーゴ』(1948)論」,『層 - 映像と表現』,第4号,pp.186-205,2011
  • 「悪女と機械 - フリッツ・ラング『メトロポリス』におけるファム・ファタール表象について」,『層 - 映像と表現』,第6号,pp.55-71,2013(JSPS科研費23520143の助成による)
  • 「『飾窓の女』におけるフロイトの夢思想の表象について」,『層 - 映像と表現』,第7号,pp.58-75,2014(JSPS科研費23520143の助成による)
  • 「増村保造と巫女としての女優‐映画『刺青(いれずみ)』における谷崎潤一郎『刺青』のテーマの再構成について」,『層 - 映像と表現』,第10号,pp.170-182,2018
  • 「臨場感の誕生 - 『ブリット』のカーチェイスの表象メカニズム」,『Accumu』,第25号,pp.82-93,2018
  • 「『虹いくたび』と『古都』の京都像と原爆の関係性の考察 - 京都被爆の想像力を回避する川端康成の視点」,『比較文化研究』(日本比較文化学会),第136号,pp.35-46,2019
  • 「松田聖子の登竜門 - 『伊豆の踊子』映画化の系譜(1933-1974)と映画『野菊の墓』(1981)」,『比較文化研究』(日本比較文化学会),第137号,pp.103-113,2019
  • 「戦後のハワイ映画と『プルメリアの伝説』(1983年)における日系女性像の比較」,『比較文化研究』(日本比較文化学会),第141号,pp.67-77, 2020
  • 「教会結婚式と一九八〇年代日本映画 - 『カリブ・愛のシンフォニー』(1985年)を代表例として」,『JunCture 超域的日本文化研究』(名古屋大学大学院人文学研究科付属超域文化社会センター),第12号,pp.138-147,2021
  • 「銀幕のクリスマス革命 - 山下達郎『クリスマス・イブ』(1983年)と映画『君は僕をスキになる』(1989年)」『比較文化研究』(日本比較文化学会),第148号,pp.181-192,2022
  • 「文通とインターネット - 映画『Love Letter』(1995年)の回想場面の考察」『日本映画学会会報』(日本映画学会),第68号,pp.7-17,2023
 

学会発表

  • 「機械と運動 - キートンの自動車ギャグについての考察」(口頭発表),日本映像学会 第34回全国大会,京都精華大学,2008年6月
  • 「ドキュメンタリー批評としての『激怒』 - フリッツ・ラングと30年代アメリカ」(口頭発表),日本映像学会 第37回全国大会,北海道大学,2011年5月