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建学の理念と設置の趣旨

建学の理念

社会のニーズに応え,時代を担い,
次代をリードする高度な実践能力と創造性を持った
応用情報技術専門家を育成する。

設置の趣旨

「学問の自由・独立」は中世,西欧の大学が「教会と国家の権力」に対抗して,その支配から独立すべく謳った理念であるが,以後,西欧の伝統大学の理念として定着し,継承されてきた。

日本では,明治の文明開化の時期,この理念は生き生きとした生命力に溢れた大学の理念として受け入れられ,第二次世界大戦後,次々と増加した国内の大学においてもこの理念は絶対化され普遍化されていった。

しかし,現在,我が国の大学は600以上に増加し,「研究大学」を除く多くの大学ではこの理念が置き去りにされてしまっているばかりか,逆に大学教育における業界人材育成の障壁となっているのではないかと危惧される。

長引く不況で日本経済が衰退し,中小企業の倒産が相次ぐ中,業界が優秀な人材不足にあえいでいることに対して,教育界は今こそ応えねばならない。我々は,何よりも社会の繁栄,人類の幸福を願い,そのための教育に価値を置く。本学においては「社会のニーズに応え,時代を担い,次代をリードする高度な実践能力と創造性を持った応用情報技術専門家育成」を建学の理念とし,IT社会の高度かつ多様な人材ニーズに応え,さらに,来るべきユビキタス時代のビジョンにおいて,従来以上の高度な技術,幅広い知識と国際性を有した高度なITプロフェッショナルズを供給することを通じて,日本の高度情報化社会の実現と経済再生に貢献しようとするものである。

“業界オリエンテッド”の新しい視点

来るべきブロードバンド,ユビキタス社会では,我々の生活空間のあらゆるところにコンピュータが入り,これらはネットワークで結ばれ,我々人間の生活の社会的基盤として機能する。“情報”というものがすべての社会活動の基礎にあり,“情報”というキーワードによって,政治,経済,産業,科学技術,ヒューマンライフ等,すべてが連携するのである。

このような時代,単純に個別の先端技術のみでなく,社会的側面,人間的側面も考慮して,学際的知識において思考し,総合的に対応していかなくては,新規ビジネスは展開しにくい。IT初期時代のソリューション・ビジネスより,さらに高度なコンセプトが必要となるであろう。来るべきユビキタス時代の新しい潮流に呼応して「情報学」という学問の分野が誕生した。本学の専門は,かかる「情報学」というフィールドに立つものであるが,「基礎研究」としての「情報学」でなく,より実践面を重視した実務家のための応用技術をもって専門領域とする。

いうまでもなく,実践面の重視とは“業界オリエンテッド”の視点・ニーズの重視であり,従来の「大学・大学院での学問技術研究・学習から業界へ」という流れの教育逆転構造を容認し,“業界オリエンテッド”の新しい視点において構築された応用情報技術を専門分野とし,ユビキタス社会の新規ビジネスに対応する高度なソリューション・エンジニア,ビジネス・エンジニア,ひいてはCIO等の育成を目的とするものである。

実用と実践のための学問・技術

現在,わが国の一般大学から輩出される人間と業界が求める人材との間に甚だしい乖離があるが,これは一つには多くの大学で学問を実践指向の観点から教えていなかったことに起因すると考えられる。

今般,プロフェッショナル大学院設立にあたり,この大学院を大学と業界の「はざま」に位置づけた。そのため,教育哲学としては,「実用と実践のための学問」を価値とするプラグマティズムに立脚している。アメリカの土壌ともなっているプラグマティズム思想は机上の思弁の中から生まれたのではなく,建国時の開拓精神,生活闘争,民主主義思想にルーツを持ち,むしろそれらの集大成であるといえる。「はじめに行動ありき」である。プラグマティズムは知識はすべて現実生活のための手段,道具であり,行動を通して実際的な効果を実生活の中に実らせるものでなければならないと主張する。アメリカにおけるコンピュータリテラシー,ITリテラシーの急速な普及,さらにIT関連の開発技術で世界で群を抜く秀逸性も,プラグマティズム土壌があってこそだと分析される。応用情報技術を専門とする我々は,この点を重視し,この思想の下,現在のWebコンピューティング時代からユビキタスコンピューティング時代に向かって,時代・社会が求める,より高度な実践技術力を持ったプロフェッショナルズの育成を目指すものである。

教育構築における「革新性」と「先駆性」

「情報」という巨大概念は,文科・理科を問わず様々な分野に展開する。例えば,ITによる経済復興振興のために業界が最も求める人材として,ビジネス・エンジニアとプロジェクト・マネージャーが挙げられているが,いずれも二つ以上の専門領域にわたるプロフェッショナルズである。融合領域に新時代の専門を確立し,業界のニーズにかなった人材を送り出すことは目下の急務である。

我々は,本学設立に際して,IT時代が要求する専門領域は,既存の大学の専門学科と対応しないため,従来のいくつかの専門分野を「情報」という視点で再編成し,“業界オリエンテッド”を重視して,新しくできた融合領域・境界領域に,新たな専門学科を全く新しいカリキュラムにおいて設立した。現在の「革新競争」の時代は,すばやく変化して新しいコンセプトを生み出す能力が問われる時代であり,ボトム・アップの力学において,社会のニーズを先取りすることは,メガコンペティションの覇者になるベースの条件である。

かかる時代,教育においても従来のアカデミックデシプリンの固定概念にとらわれず,社会のニーズに対応した教育領域を,即座に構築し,即座に実現することが肝要である。

進歩の速い情報関連の教育機関として我々は「革新性」と「先駆性」を教育構築の核心としたい。

創造性育成と本物志向の教育

明治以来,わが国の学校教育は,「知識の伝授・吸収」であった。工業化社会においては,この教育は確かに効果を発揮したが,情報化社会においては,この類型的なパターンで育成された頭脳は,今日的な「生きた頭脳」として働かない。社会へ出ても「先人に学び,先人に倣う」のが鉄則であったが,この学習のプロセスは創造性とは程遠いものである。今,時代の流れ,社会の変化は,先人のつくった道を創造的に破壊し,そして再創造することを要請している。「知識の伝授・吸収」から「創造性育成」への教育改革が急務である。

情報化社会においては,工業化社会における「製品」に代わって「ナレッジ」が商品となった。すなわち,創造的な付加価値をつけるソリューション・ビジネスへ,ビジネスの様相が変遷した。この「知価時代」において,生きた頭脳,創造性が一層尊重されるのは当然であろう。

人類文明発生の歴史をさかのぼれば,常に素朴な「疑問」が,イマジネーションと論理を通して「真理の発見」へ至り,また「必要」は常に「発明」の母であった。美的感性,イマジネーションから美しい高踏的な芸術が生まれていった。

科学・技術と芸術は異質ながら,創造活動という観点においては同根である。この根源の重視が創造性の開発につながるのではなかろうか。また学習においては,「知識の吸収」に特化するのではなく,アメリカの教育で重視されている“自発的な問題発見と問題解決への取り組み”が創造性育成の一方法として見直されるべきであろう。“創造性育成”を主眼にして過去の教育プロセスのスクラップ・アンド・ビルドを図りたい。

我々は情報業界に役立つ人材教育を目標とするが,如何に実践指向教育といえども,決して理論としての学問を軽視するものではない。情報技術の激しい進歩・変遷の時代にあって,20年,30年の風雪に耐えうる技術力とは,単純なテクニックではなく,聡明な理解,柔軟な応用性を持った「才能としての技術力」であり,その才能の育成は,学問的理論「普遍的なもの」の教授と科学的思考精神の涵養によるものであると考察し,この教育を通じて「本物志向の教育」を確立する。

我々は,まさにここに本来の「大学」の存在理由を確認し,その意味で,本学も大学本来の伝統の系譜に属するものである。

IT化推進の人材供給を目指す

前述したように,ITを積極的に活用し,自ら改革を断行して再生の道を切り開いていくために,現在最も不足している人材として,ビジネス・エンジニアとプロジェクト・マネージャーが挙げられるが,いずれも二つ以上の専門領域にわたるプロフェッショナルズである。

我々は,IT業界のニーズに焦点をあて,専攻を定め,必要とするカリキュラムを設定した。まさに“業界オリエンテッド”の教育構築であり,その革新性と先駆性により,IT業界期待の人材が育成できるものと信じている。

昨今,中小企業は,大変深刻な事態に陥っている。中小企業は,大企業のように自社内に教育システムを構築し,人材育成に高いコストと時間をかける余裕がない。この「人材不足」から,中小企業ではIT化による経営革新が甚だしく立ち遅れたのであろう。中小企業の弱体化も,「デジタル社会」へのビジネスの切り替えができなかった結果であると考えれば,まさに「人材不足」にこそ,悲劇の根源があると推察できる。

全国の中小企業で,ビジネス・エンジニアを専門家として確保しているのは数パーセントに満たないといわれる。おそらく最低でも数十万人の人材不足である。光ファイバーなどによる世界最高のインフラが完成されても,「人材不足」の問題を解決しなければ世界最高のIT国家になれないことは必定である。

日本経済復活は,中小企業の再生にかかっているが,そのキーとなるIT化推進の人材を育成することに本学は社会的意義を感じている。

from KYOTO ー 日本の情報文化発信

現在,日本の業界は不況の嵐の中であえいでいるが,その中でも世界的シェアを掌握し,高収益を上げている企業が京都には多い。これら京都企業の元気のよさの理由として,「京都の持つ革新の文化」や「京都の企業の質を追う本物主義の伝統」,あるいは「社会のニーズに対する洞察性」などがいわれている。また,京都は世界的ベンチャー企業の発祥の地であることも周知の事実である。一方,数々のノーベル賞受賞者を生んだのもここ京都である。京都は,起業においても学問においても,創造性を育成する土壌である。

千年以上にわたって,京都は日本文化の中心である。本学は「京都」という地の利を得て,その風土的エネルギーを継承し,世界に向かって日本の情報文化を発信しつつ,大きく発展していくものと確信している次第である。

(2004年4月)