概要

インターネットの接続性,スピード,アクセシビリティが世界規模でますます広く利用できるようになるにつれ,デジタル・エンターテインメントも同様に,配信だけでなく,保存,プロモーション,所有,制作の主要な手段として,インターネットへとシフトしています。映画,テレビ,音楽,ゲーム,ライブストリーミング,スマートフォン,エクステンダー・リアリティ(XR)などのコンテンツをはじめとする現代のエンターテインメントは,いずれもそれを支えるITインフラの開発,メンテナンス,進化にかつてないほど依存しています。エンターテインメントの制作会社が,AIを搭載したクラウド・コンピューティングに注目し,インターネット上とライブの両方にわたるリアルタイム・パフォーマンスを新しい体験として提供するようになれば,その傾向はさらに強まるでしょう。このようなインフラを支えるITと,エンターテインメント・コンテンツ自体の制作・配信手法の両方を深く理解した新しい人材が求められています。ITエンターテインメント専門分野では,業界のIT/ICT/データ・インフラの要件,ニーズ,進化する技術という文脈の中で,特にゲームやビデオ・エンターテインメントに焦点を当てたエンターテインメント制作プロセスを中心に,新たなキャリアを開発するために必要な知識を学びます。
目指す人材像
- 企業や組織のITインフラ(ネットワーク,サーバー,クラウド,ストレージ,セキュリティなど)を管理し,安定した運用を確保するITインフラマネージャー
- ゲーム,ストリーミング,ビデオ制作,音楽配信などのエンターテイメント業界において,ITインフラやデジタルサービスの管理・最適化を行うエンターテインメントITマネージャー
- ソフトウェアやサービスの基盤となるインフラやプラットフォームを設計,開発,運用するプラットフォームエンジニア
- 技術的なプロジェクトの計画,実行,監視,そして完了に責任を持つ技術プロジェクトマネージャー
- デジタルメディアの制作や配信に必要なシステムの設計,開発,運用を担当するデジタルメディアシステムエンジニア
- メディアコンテンツ(動画,音声,画像,ゲームなど)の制作,処理,配信に関する技術的な課題を解決するメディアテクノロジーエンジニア
過去のマスタープロジェクトのテーマ
- 中国アニメ発展史講座のアニメーション
- 中国アマチュアマンガのプラットフォームビジネスについて:“有妖気”のビジネスモデルを事例に
- マスコットキャラクターを用いた京都の観光案内アニメの製作
マスタープロジェクト担当教員の声
渡邉 昭義 教授
エンターテインメントの分野では,デジタル化によりコンテンツ制作の仕方が変わりました。例えば,音楽制作では,かつては大変高価であったアナログのコンソール,マルチトラックレコーダー,プロセッサーが,一般でも入手可能なノートパソコンで実行可能なDAWに変わりました。デジタルはアナログを置き換えただけでなくアナログでは不可能あるいは実現困難な処理も可能にし,人々の音楽への接し方も変えました。映像制作やライブイベントの分野でもITの応用は新たな可能性を開拓しています。本分野はこのように発展しつつあるITエンターテインメントで活躍する人材の育成を目指しています。
本学のカリキュラムでは,最新のテクノロジーについて学ぶ一方,本物のクラシック音楽を聴く科目もあります。テクノロジーによって音楽が変わっても,最終的に良し悪しを判断できるのは人間であり,そのためには本物の音楽に接することがよい学びとなると考えているからです。
マスタープロジェクト担当教員の声
デイビッド・タイン・ヒエン・プーチック准教授
エンターテインメントの本質はこの10年で急速に進化し,アートとテクノロジーを融合させた新しいメディアを開発し,観客を惹きつけ楽しませています。あらゆるデバイス,あらゆる時間,地球上のあらゆる場所で,新しい形のエンターテインメントに人々がこれほどまで没頭したことはないでしょう。そのエンターテインメントを提供するために必要なデータインフラは,時代とともに複雑さを増すばかりです。このようなニーズがどのように進化しているのかを理解し,そのニーズに対応するためのサービス・アーキテクチャをどのように構築すればよいのかを理解しようとする学生は,この専門分野での学びを追求することで大きな利益を得ることができます。