概要

直径60cmにも満たないアルミニウムの球体が地球を一周して,それが世界初の人工衛星スプートニク1号になりました。あれから約70年,今では1万を超える人工衛星が稼働中です。“地球は人類のゆりかごである。しかし人類はいつまでもこのゆりかごに留まっていないだろう”という言葉通り,宇宙は身近なテーマとなってきました。ロケットや衛星などの製造・打ち上げから,衛星通信・測位・地球観測など宇宙を利用したサービスまでを含む「宇宙産業・宇宙ビジネス」という言葉も身近なものになり,私たちの生活においても日々恩恵を受け,直接関係するようになってきています。宇宙科学に基づいて宇宙を「自然資本」と捉え,その利用を拡大していくことで,人類の生活を豊かにする時代が始まっているのです。
本学の母体である京都コンピュータ学院(KCG)は,1963年,京都大学理学部宇宙物理学教室初の女子学生で,コンピュータを使用し科学技術計算を行っていた長谷川靖子が始めた「FORTRAN研究会」がその源となっています。同研究会には当初から,宇宙物理学教室の若手研究者が参画し,KCGそして本学へと発展してきました。スペースサイエンスIT専門分野は,京都大学宇宙物理学教室から始まった60年にわたるスペースフロンティア探求の場といえます。膨大な衛星データの有効活用などITを活かし,実利用を重視したカリキュラムで,宇宙を科学的に理解把握し,宇宙理工学の基本知識と技術の修得を目指します。
何を学ぶか?
- 宇宙科学に関する基礎知識
- 宇宙/地球探査の知識と基本技術
- 人工衛星データの利活用
- 地球環境保全と気象災害対策
- 太陽活動と宇宙天気
- 宇宙開発のこれから
- 基礎/応用技術としてのIT
目指す人材像
- 宇宙関連システムの開発
- 宇宙産業技術者
- 現業での人工衛星データ導入
- 公的/民間企業での防災対策
- 気象予報士/宇宙天気予報士
- 宇宙ビジネスに参画
- など
マスタープロジェクト担当教員の声
青木成一郎教授
人工衛星データなどの利活用の方法と理学的知識を学ぶ
アメリカ主導の「アルテミス計画」をはじめ,中国,日本,インドなどによる国家主導の宇宙開発に加え,民間でもロケット開発や人工衛星で取得したデータ活用などが精力的に進められています。これに伴って宇宙市場は拡大し,必要な人材数も増加の一途の状況にあります。本学のスペースサイエンスITでは,これらの状況を踏まえ,宇宙開発の要素技術であるITを基礎に,実利用のためのスキルとして人工衛星データなどの利活用の方法,活用の前提となる理学的知識,例えば,地球と太陽の間の環境である「宇宙天気」や影響の原因となる「太陽活動」など,を学ぶことができます。宇宙を将来の仕事の場とするため,これらITを基礎とした工学および理学的知識やスキルを,本学で学びましょう。
マスタープロジェクト担当教員の声
向井苑生教授
宇宙や地球科学を学びつつ,情報処理技術を身につける
「地球は青かった」という言葉に世界中が掻き立てられ,宇宙から地球を観る夢を実現して長い年月が過ぎました。今では,人工衛星から地球環境や気象情報を得る事は日常の当たり前になっています。その情報を提供する側に立ってみませんか?衛星リモートセンシングデータを取得し,正しく処理して地球/地域環境保護や気象災害の検知/予報に繋げるには,情報処理技能が必須です。スペースサイエンスITのマスタープロジェクトでは基礎知識や技術の有無は問題としません。宇宙や地球科学(スペースサイエンス:SS)を学びつつ,情報処理技術(IT)を身につけ磨きをかけるのがスペースサイエンスIT専門分野です!
科目概要
宇宙科学概論
スペースサイエンスITでの学修を始めるにあたって,その後の学修の前提となる,宇宙科学に関する基礎的な知識を修得する。スペースサイエンスITの主な対象である太陽系内の天体に限らず,宇宙の構造,宇宙の始まりなども扱う。
衛星データ処理プログラミング
人工衛星からの観測データ処理の第一歩として,衛星データの基本構造とデータ取得法,応用処理に必要となる基本アルゴリズム並びにPythonによるプログラミング実習を行う。衛星リモートセンシングの基礎知識についても解説する。
惑星科学
惑星科学は新しい科学である。羊飼い達が空に星座を想像した昔から,現在に至るまで,惑星系についての新しい発見があり,新たな謎が生まれてきた。本科目では,恒星と惑星達が造る世界(惑星系)に焦点を絞り,その研究の歴史と,最新の情報を分かりやすく紹介する。
宇宙天気概論
太陽活動によって引き起こされる宇宙天気の仕組みや,太陽フレア・コロナ質量放出(CME)が地球の磁気圏や電離圏に及ぼす影響について学ぶ。さらに,人工衛星,GPS,通信,電力網など社会インフラへの影響や,宇宙天気予報の観測・解析手法,将来の宇宙利用に向けた課題と対策について基礎から理解を深める。
太陽活動
太陽内部の構造,核融合によるエネルギー生成,静穏時の太陽大気(光球・彩層・コロナ)の構造と磁場の特徴,黒点やフレア・プロミネンス・太陽風などの活動現象を基礎物理に基づいて学ぶ。さらに,太陽を恒星物理の基本モデルとして理解し,恒星や多様な天体活動現象を学ぶための基礎知識を身につける。