概要

近年,「住んでよし,訪れてよし」の観光地域づくりの実現や,持続可能な観光のあり方が求められるようになってきました。観光IT専門分野では多言語・マルチメディアでの観光情報の提供,観光客の行動履歴・体験・感想の情報化と分析・予測など,ICTを応用した新しい観光サービスや観光ビジネスモデルの創出について学びます。観光産業が新たな課題に直面する現在,様々な課題解決の担い手,すなわちバーチャル観光等でデジタル資源を創出・活用する観光DX(デジタル・トランスフォーメーション)による観光地域活性化を図る提案ができる人材を育成します。
目指す人材像
- 観光ビジネスの企画・システム開発・ビッグデータ活用などに携わるエンジニア
- 観光サービスのマネジメントをICTで効率化するスキルを身につけたマネージャー
- 次世代観光業で有用な情報をすばやく発見する,創造的で実戦的な観光DX人材
- 観光産業をリードするトップレベルの経営人材
過去のマスタープロジェクトのテーマ
- Development of Artificial Intelligence Robot in Tourism Field
- 京都における「魔界スポットめぐり」に関する観光情報システムの開発
- エデュケーショナルツーリズムに関する一考察および提案
- 訪日観光客を対象とした「ヘルスツーリズムシステム」の構築
- アフターコロナの観光の発展について-ICTの活用を中心に
- Challenges of Smart City Development in Japan
- アプリでIT観光を発展させるための考察
- インターネットの普及による観光のあり方の多様化について
- 京舞の魅力的な動きの抽出
マスタープロジェクト担当教員の声
李美慧教授
私の専門はグローバル人材開発です。近年,経済のグローバル化とともに,日本に進出する外資系企業が増えている一方,海外市場の一層の活発化により,海外に製造・販売の拠点を移そうと試みる日本企業も急増しています。日本経済だけでなく全世界で経済が混乱している昨今,世界で勝ち抜くグローバル戦略やデジタル変革の加速化が求められています。それらの企業ではグローバル人材の需要が増大しており,その育成と確保が急務となっています。日本の「観光立国」政策を進める上で,今後の日本経済を支える産業の一つとして,観光産業に注目が集まっており,インバウンド対応できる観光ICT人材の拡充が求められていることも,このことと無関係ではありません。
一方,オーバーツーリズム(観光公害)がもたらす問題,例えば,公共交通機関の混雑や日本人から見たマナー違反など,市民の安心・安全に関わる問題も顕在化しています。本学はその恵まれた立地から,京都に数多くある伝統的な寺社は「信仰の場」なのか,それとも「観光資源」なのかといった,地域文化の継承と観光需要とのあつれきなどの生きた事例を,わがこととして日常的に観察できる環境にあります。この専門分野ではフィールドワークを通じ,グローバルな文理融合の視点から,実際に問題解決につながる施策FBL/PBLについて議論し,考察していきます。世界有数の観光都市・京都という「観光IT」の最前線で視野を広げ,知識と実践力を兼ね備えた「観光ITスペシャリスト」を育成していこうと思います。
観光情報学会の活動に積極参加

本学は,日本学術会議協力学術研究団体のNPO法人 観光情報学会(会長:鈴木恵二 公立はこだて未来大学理事長・学長)の活動に積極的に参加しています。同学会との共同による各種研究会を本学で開催し,観光IT専門分野の学生,教員が研究発表や質疑応答・意見交換などを繰り広げ,観光情報学の発展に寄与しています。
観光情報学会の目的は,観光客の動態データの収集と解析,観光資源のデジタル化,スマートシティの実現に向けた取り組みなどを通じて,観光地の魅力向上と観光客の分散化を図り,産官学連携の枠組みを活用して実社会での実装と展開を目指すことです。本学観光IT専門分野の学生はICTを応用した新しい観光サービスや観光ビジネスモデルの創出を研究していることから,同学会からその成果に注目が集まっています。