未来を創り出す実験室
BIPROGY株式会社と「未来環境ラボ」を共同開設
京都情報大学院大学・京都コンピュータ学院(KCGグループ)と,日本ユニシス株式会社(現:BIPROGY株式会社)(本社:東京都江東区)の総合技術研究所は,学術・研究の協力関係を築くための産学連携協定を2017年2月15日に締結しました。これに基づき,本学の学生とBIPROGY総合技術研究所の研究員とが相互に交流し,様々な学術・研究の共同作業を重ねていくために,「未来環境ラボ」を学内に開設しました。
「未来環境ラボ」は,BIPROGY社の第一線の研究員と本学教員が,新鮮な発想を持つ学生が,共同プロジェクトを推進していく産学協同の場となります。加えて,特別講義やワークショップ・ハッカソンなどのイベントも実施していきます。
この共同作業によって,イノベーションへとつながる発想やソリューションの種が生まれ,斬新なITの利活用が生まれることを期待しています。その中から,様々な分野に挑戦し続けられる人材,多様性を備えた人材が育ち,IT社会の未来を切り開く原動力となるだけでなく,私たちを取りまく地域の活性化へとつなげられるよう,活動を進めます。
BIPROGYグループは,日本初の商用コンピューターによって今日の情報社会を拓き,以来60年以上にわたり高技術者集団として顧客課題を解決し,社会や産業を支えるシステムを構築してきました。この経験と実績をバックボーンに,革新的なサービスを創造し,持続可能で活力ある未来社会づくりに貢献できる集団として,みなさまから信頼され,期待され続ける企業グループであることを目指しています。(会社紹介:BIPROGY株式会社 提供)
未来環境ラボとは
未来環境ラボは,「未来が垣間見える知って・遊んで・考えて『創る』ラボ」をコンセプトに,アート,ビジネス,サイエンス,デジタルゲーム,エンジニアリングなど様々な分野で,「5~10年後に実現されているもの」を思い描いてプロトタイピングに取り組んでいます。技術の進歩と社会への応用の速度は目覚ましく,今後世の中で活躍する人材には,より高い創造性が求められます。未来環境ラボでは,「世の中にどんな技術があるのかを知ればアイデアが湧く」,「アイデアを形にする力も訓練で向上する」と考え,物事を様々な観点からとらえ,現在はまだ存在しないものを自分で新たに生み出す経験を積む機会を学生に提供しています。
世の中の技術を知る機会を得るために,BIPROGYから研究者を招き,最新の研究成果とその未来を体験してもらう技術交流会を発足から毎年開催し,普段の制作のほかにも,アイデアの出力から実装,発表までを1日~数日で行うイベント『ハッカソン』を開催してきました。これには毎回チャレンジ精神と好奇心に満ち溢れた学生と教員が参加し,白熱した意見交換や実装作業が展開されています。
ここでは,いろいろな人,アイデア,視点,技術に出会えます。ここに来るために必要なものは,何かを創り出そうとする心です。少し不思議な空間ですが,学生の皆さんにとって刺激的な場所であることは間違いないでしょう。ぜひ気軽に訪れてみてください。
開かれた雰囲気の中で
未来環境ラボが設立されてから7年経ちました。設立当初は学内での勉強会やハッカソンに力を入れ,BIPROGY社の研究員の方々との技術交流会や人間中心設計をテーマとしたワークショップを開催しました。その後は対外的な活動にも力を入れ,行政や企業,技術者コミュニティとの協働による,オープンデータハッカソンの開催,IoTや深層学習(画像認識,機械翻訳)の勉強会の誘致・主催,他大学や企業との共同研究など,活動の場は大きく広がりました。今後も様々な最新技術に触れられる機会を提供する予定です。
未来環境ラボの特徴は,学生や研究員,教員,学外の多様な組織の方々が参加して,様々なアイデアやプロトタイプを生むフィールドを提供していることです。授業や学校の枠にとらわれない,学生の可能性を最大限に広げるオープンな環境です。皆さんの参加をお待ちしています。
未来環境ラボの活動
未来環境ラボでは定期的にゼミを開催しています。ゼミでは各自が取り組んでいるプロジェクトや最新技術の調査結果,イベント参加報告など様々なテーマについて発表し,活発な議論を行っています。ゼミは社会人でも参加しやすいように週末の夕方に行われることが多く,毎回熱い議論を交わした後には,和やかな雰囲気で交流会が行われ,人的ネットワーク形成の場にもなっています。また,ゼミは未来環境ラボで開発した「バーチャルオフィス風ビデオ会議アプリ」によりオンラインでも実施しています。オンラインの場合,地理的な制約がないため,札幌サテライト,東京サテライトの在学生や修了生も参加しやすくなっています。
オンラインゼミで使用するアプリの基盤となった研究を学会で発表し,これをテーマとしたチュートリアル・ハッカソンを学会で実施しています。さらに,「フォームサービスを用いた口腔ケア実施報告システム」は実際の歯科医院や医療施設での口腔ケア業務の報告書を電子化,業務効率とサービス改善の研究で,成果を学会や論文で発表しました。その他、プログラミング課題の自動チェックシステムなど,教育や学習支援,仮想通貨,ITの産業への応用事例などに取り組んでいます。
生成AIワークショップを開催
未来環境ラボでは2017年の開設以来,KCGグループの学生に向けたワークショップやハッカソンなどの参加型イベントを開催しています。2023年6月には「ChatGPT/生成AIワークショップ」を開催しました。このワークショップでは,人工知能の専門家である石田亨京都大学名誉教授,株式会社スクウェア・エニックスや理化学研究所などでゲームにおける人工知能を研究している三宅陽一郎先生が講演されました。KCGグループ学生,BIPROGY社研究員,本学教員,外部参加者によるグループワークでは,生成AIの未来について活発な議論が行われ,成果発表会・懇親会も大いに盛り上がりました。
他にもBIPROGY社研究員による連携講義や,最新の研究成果を学生へ披露する技術交流会や各種勉強会なども開催しています。企業研究者や本学教員が推進する研究開発プロジェクトへの学生の参加も歓迎しています。今後も学生と企業・教員が積極的に意見交換し,共に創造できる機会を提供します。