メッセージ
現代社会において持続可能性が求められる中,日本は過去の建築手法の変革を目指しています。これまでは,建物を建てては壊すというスクラップ&ビルドの手法が主流でしたが,現在は建築資産を長期間にわたって活用し,持続可能なストック型のアプローチに移行しています。このアプローチは,建築の設計,建設,運用,解体の各段階で省エネルギー化を推進し,建築物の寿命を延ばすことを意味します。
一方,COVID-19の発生以降,人々の生活環境が大きく変化し,建築に対する要望も急速に変化しました。例えば,ウイルスの空気感染を防ぐための換気設備の強化や,テレワークの普及によって自宅での効率的な仕事環境が求められるようになりました。
こうした現代社会の変化に対応するために,建築業界でもIT化が不可欠です。現在,建築業界では,VR・XR技術を用いたリアルな建築空間の体験や,建設現場の作業効率改善と安全性の確保,さらには様々な環境シミュレーションツールを利用した快適な住空間の実現など,様々なITが活用されています。また,BIMソフトウェアによる設計・施工・管理の一元化や,ビッグデータを活用した都市計画なども,建築業界におけるIT化の例です。
建築IT概論の講義では,建築の基本的な概念から始まり,設計・工事のIT化,都市計画,建築の歴史,現代都市の課題など多岐にわたる内容を学んでいきます。この講義を通じて,皆さんには建築の魅力について深く理解していただきたいと考えています。建築は,単なる建物や構造物ではなく,人々の生活や文化,歴史と深く根ざしています。
みなさんには,本学でITを学んでいただき,建築分野を含め様々な分野でその知識を応用・活用していただきたいと願っています。