メッセージ
企業規模の大小にかかわらず,各社には固有のビジネスモデル / ビジネスプロセス / ワークスタイルがあります。その長所を支え,短所を改善するために企業システムは必要です。ITコンサルタントの活動範囲は,企業システムに対する問題発見と定義・提案・実装・運用など多岐にわたります。すなわち,プログラミングやパラメータ設定だけできても,技術偏重では十分ではないということです。
対象企業のビジネスの本質が解り,それを他社と比較することで特徴や違いを明らかにし,なぜこの活動をすればビジネスによい効果を与えることができるようになるのかを,相手の立場に立って,かつ論理の裏付けをもって説得し,そしてプロジェクトを通して実装することができるITコンサルタントが,日本のみならず世界のビジネス市場から求められています。有能なITコンサルタントは,ITベンダーやコンサルティングファームに所属することに留まらず,企業内部からビジネス変革を実現する「真の変革者」としても引く手あまたです。
ITコンサルタントを自らの生業(なりわい)とするために,常に心がけておくべきことがあります。IT業界は他の業界と比べて進化のスピードが著しく速いのです。数年前の常識が時代遅れになって無用の長物と化すこともしばしばあります。そのためにITコンサルタントは一生涯,多岐にわたる勉強を怠ってはなりません。特に,常に最新のビジネスと技術動向に目を配っておく必要があります。
私は,日系SI企業で6年,大規模システム設計・開発・運用のプロジェクトを通して企業システムの基礎を学んだ後に,企業アプリケーションの世界トップベンダーであるSAPに転職し,主に大企業を顧客として,25年にわたって上述の活動を続けてきました。
この度,縁あって京都情報大学院大学に招聘していただき,私の経験に基づいた「ERPコンサルティング特論」を開講することになりました。これからITコンサルタントとして活躍される若手の皆さんの土台形成に役立つ内容にしていきたいと考えています。