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藤原 隆男 教授

藤原 隆男 教授

藤原 隆男 教授

応用情報技術研究科・ウェブビジネス技術専攻主任
京都市立芸術大学名誉教授
元京都市立芸術大学美術学部教授・同学部長

藤原隆男教授は宇宙物理学研究者として数値シミュレーションを手掛ける中で,コンピュータグラフィックス(CG)を多く用いてこられました。イギリスの大学を半年あまり訪れ,CGについて学ばれた経験もあります。KCGIでは「ITマンガ・アニメ」を専門分野とする学生を主な対象とし,CGについての基礎から応用までを指導。学生たちには日ごろから芸術的センスを磨くよう呼び掛け,美術館巡りや美術史の勉強などを勧めます。

映画制作に欠かせない3DCGを学び、芸術センスを磨いて世界に

AIには限界がある,人間の創造性そのものを奪う訳ではない

これまで研究をされてきた中でITはどのような存在だったのか,さらには近年登場した生成AIが芸術分野にどのような影響を与えるのかお聞かせください。

自然科学では,自然を理解するためには自然界を支配する法則への深い洞察とともに実験的手段が大きな役割を果たします。ところが,私の専門である宇宙物理学の分野では実験をすることがそもそも不可能な現象が多く,数値シミュレーションという手法がよく使われます。例えば,恒星の構造を決める方程式は19世紀から知られていましたが,内部の構造が正確に解けるようになり,その進化がわかるようになったのは,コンピュータが使えるようになった1960年代です。コンピュータはもともと計算機でしたが,計算量の変化が質の変化を招き,科学や技術の世界では研究の方法をすっかり変えてしまいました。また,試行錯誤を容易にする道具として,デザインや芸術分野でも創造を助ける道具として,あるいは表現の手段そのものとしても使われるようになりました。

それからITは急速に進歩し,最近はAI(人工知能)についての問題が表面化するようになりました。生成AIは人間が要求する,ありとあらゆるものを簡単につくり出してしまうため,人間社会を乗っ取ってしまうのではないかと危惧されるほどです。ただこれらは模倣の組み合わせにすぎません。科学・理論の発見やクリエイティブなモノを作ることはできないなど限界があり,人間の創造性そのものを奪う訳ではないので,扱う際には著作権の面などを慎重にしながら向き合っていけばよいのではないかと思います 。

プロも活用の本格的な機能を持ったソフト「Maya」の基礎や理論をしっかりと

担当科目についてお聞かせください。

専門分野「ITマンガ・アニメ」は,世界が認める日本発の文化,コンテンツ産業に焦点を当て,それらをウェブビジネスに活かすための手法を探ります。まずは既存のクリエイティブ産業を研究したうえで,新しいビジネスモデルの創出に向けたソリューションを実践的に学ぶカリキュラムを提供しています。

私はこの専門分野の学生を主な対象にした講義「コンピュータグラフィックス」を担当しています。3DCGは映画制作に欠かせない存在であることは言うまでもありませんが,最近では2次元のアニメでも3DCGソフトが使われるケースが多くなっています。講義では3DCGソフト「Maya」について指導します。「Maya」は学生の間は無償で使うことができ,SF映画制作などでプロも活用している本格的な機能を持ったソフト。単に使うだけでなく,そのベースにある基礎や理論をしっかり学べば,ほかの3DCGソフトにもスムーズに移行できます。さらには専門分野「観光IT」の英語モードの学生をも対象にした講義「リッチメディアコンテンツ開発」も受け持っています。

優れた学ぶ環境,創造力や芸術センスを磨いて

KCGIで「ITマンガ・アニメ」を学ぶ学生へのメッセージをお願いします。

コンピュータは人々の創造的な活動を支援し,人々の生活を豊かにするツールです。これを上手に扱うためには何より基礎が大事。さらには概念,考え方をおろそかにしなければ,あらゆる分野に応用できるでしょう。日本のマンガ・アニメは世界中から高い評価を受け,いろいろな国から学生が集まってきています。KCGIの専門分野「ITマンガ・アニメ」を担当する教員には,私のような基礎・理論を専門にしている者だけでなく,その分野で実務経験がある先生も多く在籍。設備も充実していますので,学ぶ環境としては優れていると自信をもって言えます。