教授(キャリアセンター長) 髙橋 豊
我が国において現在進行しつつある第4次産業革命,さらには世界に先駆けて実現を目指そうとしているSociety 5.0 を実現するためには,従来から求められてきた課題解決型のIT人材に加えて,今後は価値創造型のIT人材もその重要性が高まります。その結果,経済産業省の予測では,経済が順調に発展すれば,2030年には78.9万人のIT人材不足が見込まれています。
20世紀末からの急速なインターネットの利活用の拡大で,IT技術者が求められる業種は,従来型の情報システム産業だけではなく,より一層広範に亘り,製造,金融・保険,運輸・輸送,電子商取引,広告,娯楽など,我が国の経済活動の大部分に及んでいます。従ってIT人材が量的に大いに不足するだけではなく,質的にもより高度な職業人が求められようとしています。
さらに2020年初頭から始まったCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響により,テレワーク,オンライン授業など在宅での業務が増えたため,DX(Digital Transformation)の波が一気に押し寄せています。今後は,IT人材不足はこれまでの予測以上に顕著になります。
京都情報大学院大学は我が国で最初に創設されたIT専門職大学院であり,アジア地域をはじめとして多くの国々からの留学生を多数受け入れています。多様な文化的背景を持つ学生が醸成するダイバーシティに富んだ環境でお互いに切磋琢磨しながら勉学に励み,複眼的視点からの思考力を涵養したグローバル人材の輩出を目指す本学で学ぶ学生への期待は今後ますます高まっていくことでしょう。
本学のキャリアセンターでは,急速に進行する我が国の産業構造の変化に対応し,優良企業の求人関係最新情報の調査と新たな求人企業開拓を行い,学生の皆さんへ情報提供をするとともに,個別面談を重視し,皆さんの就職に関する希望,適性,修学内容に応じた指導・アドバイスを行っています。
就職活動にはいろいろな不安と悩みが伴います。どのような職種に向いているのか,どのような業種に将来性があるのか,どのように志望企業を見つけるのか,どのように履歴書・応募書類を書けば良いのか,どのように面接に臨めば良いのか,これらを一歩一歩解決できるように,キャリアセンターは,就職・進路ガイダンス,学内企業説明会,企業インターンシップの紹介などを入学時からきめ細かく行います。さらには個別面談を通し徹底して皆さんの希望・適性と就職先のベストマッチングができるようにお手伝いをします。皆さんの相談を受けながら,最適な進路選択を一緒に考えていく,これがキャリアセンターの基本姿勢です。
教授(札幌サテライト長) 中村 真規
拡散するIT社会の中でプロフェッショナルとして活躍するためには,まず,自分の立ち位置をきちんと決めることが大切です。企業経営においても,トップの立ち位置がその企業の発展を決める要であると言っても過言ではありません。自信を持って立ち位置を決めるためには,高度な専門知識による裏付けと,自分自身の価値観の確立(心の見直し)が必要です。
すなわち,ITプロフェッショナルとして世の中に出て行くためには,心と知識の融合が大切なのです。
私は長年この業界で働き,ITの変遷の歴史を身をもって体験してきました。この経験に基づき,いろいろな知識と大切な価値観をお教えしたいと思います。30年間のIT産業成長の歴史を俯瞰し,体系的にIT産業を分類することで,広い視野を持ち,未来の可能性を追求することができるのです。
また私は,31歳で独立し起業した経験から,経営についておいしい経験も苦い経験も味わってきました。その中で学んだ企業経営の楽しさ,辛さをお話しします。そして,経営における計数管理の重要性と,価値観の共有の大切さをお教えしたいと思います。企業経営における生の情報を分析し,計数管理などの経営の実際を学ぶことを通して,経営の立ち位置の重要性を理解することが大切だと信じるからです。
大学院の授業を通して,必要な知識を身につけるだけではなく,経営実践者との真摯な対話から,その価値観・心を学んでいただきたいと思います。
グローバルな時代だからこそ,日本的経営手法,人材管理手法が輝きを増しています。そして広い視野で物事に対処できるITプロフェッショナルがこれまで以上に必要な時代が到来しているのです。