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富田 眞治

Shinji Tomita

経歴

  • 京都大学工学士,同大学院博士課程修了(電気工学専攻),工学博士
  • 京都大学名誉教授,元京都大学大学院情報学研究科長,元京都大学総合情報メディアセンター長,元京都大学物質-細胞統合システム拠点特定拠点教授/事務部門長,元九州大学教授,元ハルピン工業大学顧問教授
  • 博士課程教育リーディングプログラム委員会複合領域型(情報)委員,IFIP(国際情報処理連盟)TC10委員,情報処理学会理事,情報処理学会関西支部支部長,京都高度技術研究所客員研究部長,京都府ITアドバイザリーボード委員,総合科学技術会議専門調査会,「エクサスケールスーパーコンピューター開発プロジェクト」評価検討委員会委員,京都府情報政策有識者会議委員長など歴任,電子情報通信学会フェロー,情報処理学会フェロー
  • 京都情報大学院大学学長,応用情報技術研究科長

メッセージ

超高速コンピュータの新しい応用分野の開拓精神を持って

1945年に今日のコンピュータの原型となる,Stored Program方式がノイマンによって提案されてから77年が経過します。私の生年も1945年であるので,私はコンピュータとともに歩んできたことになります。私の能力は誕生以来遅々として進みませんが,コンピュータの発展は目を見張るものがあります。とりわけ1970年前後には,現在のマイクロプロセッサの高速化の原型となったOut-of-Order方式やキャッシュメモリ方式,オペレーティングシステムUNIX,構造化プログラミング,Internetの原型となったARPANET,1kbitDRAM,4ビットマイクロプロセッサIntel 4004,共有メモリ型の並列コンピュータC.mmpなど,綺羅星のごとく新しい技術が実用化されてきました。私の20歳代後半はちょうどこの時期にあたり,研究は何をやっても非常に楽しかったです。

1970年代以降も,プロセッサやメモリ技術,ハードディスク技術,通信技術,センサー技術がまさに一体化し,統合化されて発展してきました。どれ一つ欠けても今日のコンピュータの普及はなかったでしょう。今日の最高速(2021年11月スパコンランキング「TOP500」)のコンピュータは日本の「富岳」であり,コンピュータの演算性能は毎秒1018(エクサ)回に近づこうとしています。

若い諸君には総合科学技術としてのコンピュータを人工知能などの新しい応用分野に十二分に使い切り,また新しい応用分野を開拓し,真に人類の幸福に役立てていただきたいと思います。このためには楽しく,人文社会科学を含めた多様な分野を若いうちに幅広く学ぶことが重要でしょう。

担当科目

  • コンピュータ構成論
  • オナーズマスター論文

専門分野

  • コンピュータアーキテクチャ
  • 並列コンピュータとその応用
  • 超高速グラフィックシステム

業績

著書

  • 萩原宏編:“情報工学ハードウェア実験”,オーム社,1983
  • 富田眞治:“並列計算機構成論”,昭晃堂 ,1986
  • 富田眞治,村上和彰:“計算機システム工学”,昭晃堂,1988
  • 富田眞治,末吉敏則:“並列処理マシン”,オーム社,1989
  • 富田眞治,村上和彰,新實治男:“コンピュータアーキテクチャ(ヘネシ&パターソン原著)”,翻訳,日経BP社,1992
  • 富田眞治:“コンピュータアーキテクチャI”,丸善,1994
  • 富田眞治,中島浩:“コンピュータハードウェア”,昭晃堂,1995
  • 富田眞治:“並列コンピュータ工学”,昭晃堂 ,1996
  • 富田眞治:“コンピュータアーキテクチャ”,基礎から超高速化技術まで,丸善,2000
  • 富田眞治,藤井康雄編著:“情報社会とコンピュータ”,昭晃堂,2005
  • 富田眞治ほか:“地域産業論-地域活性化への貢献-”,松江工業高等専門学校編,2006

論文

  • T.Sakai, K.Ohtani, S.Tomita: On-Line, Real-Time, Multiple-Speech Output System, Proc. of IFIP Congress'72,pp.686-690, 1972
  • S.Tomita, K.Shibayama, S.Oyanagi, H.Hagiwara: Hardware Organization of a Low Level Parallel Processor, Proc. of IFIP Congress'77,pp.855-860, 1977
  • 小柳滋,柴山潔,富田眞治,萩原宏:マイクロプログラム制御計算機QA-1のハードウェア構成,電子通信学会論文誌(D),61-D巻,1号,pp.64-71, 1978
  • H.Hagiwara, S.Tomita, S.Oyanagi, K.Shibayama: A Dynamically Microprogrammable Computer with Low-Level Parallelism, IEEE Trans. Computers, Vol.C-29, No.7, pp.577-595, 1980
  • S.Tomita, K.Shibayama, T.Kitamura, H.Hagiwara: Performance Evaluation and Improvement of a Dynamically Microprogrammable Computer with Low-Level Parallelism, Proc. of the 13th Microprogramming Workshop, ACM, pp.79-89, 1980
  • S.Tomita, K.Shibayama, T.Kitamura, T.Nakata, H.Hagiwara: A User Microprogrammable, Local Host Computer with Low-Level Parallelism, Proc. of the 10th Int. Symposium on Computer Architecture, ACM, pp.151-157, 1983
  • H.Niimi, Y.Imai, M.Murakami, S.Tomita, H.Hagiwara: A Parallel Processor System for Three-Dimensional Color Graphics, Proc. of SIGGRAPH'84, ACM, pp.67-76, 1984
  • 北村俊明,中田登志之,柴山潔,富田眞治,萩原宏:ユニバーサル・ホスト計算機QA-2の低レベル並列処理方式,情報処理学会論文誌,27巻,4号,pp.445-453(論文賞受賞),1986
  • 久我守弘,入江直彦,弘中哲夫,村上和彰,富田眞治:SIMP(単一命令流/多重命令パイプライン)方式に基づく『新風』プロセッサの低レベル並列処理アルゴリズム,情報処理学会論文誌,30巻,12号,pp.1603-1611(論文賞受賞),1989
  • 對馬雄次,明石英也,金喜都,森眞一郎,中島 浩,富田眞治:ボリュームレンダリング専用並列計算機ReVolverのアーキテクチャ,情報処理学会論文誌,36巻,7号,pp.1709-1718,1995
  • 五島正裕, 西野賢悟, グェンハイハー, 縣亮慶, 中島康彦, 森眞一郎, 北村俊明,富田眞治:スーパースケーラのための高速な動的命令スケジューリング方式,情報処理学会論文誌ハイパフォーマンスコンピューティングシステム,Vol.42,No.SIG 9(HPS 3),pp.77-92(論文賞受賞),2001
  • 福山智久,福田匡則,三輪忍,小西将人,五島正裕,中島康彦,森眞一郎,富田眞治:スラック予測を用いた省電力アーキテクチャ向け命令スケジューリング,先進的計算基盤システムシンポジウムSACSIS2005, pp.123-132, 2005
  • 尾形幸亮,姚駿,嶋田創,三輪忍,富田眞治:ALU Cascadingのための動的命令スケジューラ,情報処理学会,先進的計算機盤シンポジウムSACSIS2008, pp.105-1022, 2008

受賞

  • 1987年5月 情報処理学会論文賞受賞
  • 1992年5月 情報処理学会論文賞受賞
  • 2000年10月 電子情報通信学会フェロー
  • 2002年3月 情報処理学会フェロー
  • 2002年5月 情報処理学会論文賞受賞
  • 2007年5月 情報処理学会功績賞受賞
  • 2014年3月 京都大学QA-1情報処理学会「情報処理技術遺産」として認定・表彰
 

富田眞治学長は,2024年9月21日永眠しました。

学長代行は寺下陽一副学長が務めています。