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「初音ミク」の人気の秘密を紹介!伊藤KCGI教授が講義

「初音ミク」による日本ライブツアー「MIKU EXPO」の紹介を通じてこれまでの歩みを語る伊藤博之KCGI教授

ボーカロイド「初音ミク」を生み育てたクリプトン・フューチャー・メディア株式会社(本社:札幌市,創立:1995年)社長の伊藤博之 京都情報大学院大学(KCGI)教授による京都での特別講義が2015年12月18日,京都情報大学院大学 京都駅前サテライト大ホールで開かれました。伊藤教授は「初音ミク」が「創作のハブ」としてさまざまなジャンルのクリエイターが創作を手掛けてきたことや,世界中から愛される存在になった歩みを振り返るとともに,昨年から世界の各都市で開催されている「MIKU EXPO」を,映像を交えて紹介しました。伊藤教授は「日本の各種コンテンツは根強く世界中から評価されている。国は関連産業の育成に向け本腰を入れて取り組むべきでしょう」と語りました。世界をリードする伊藤教授の講演とあって,KCGIやKCGの学生たちは興味深く聴き入っていました。

身長158センチ,体重42キロ,16歳という「初音ミク」は2007年に誕生。楽曲は10万曲,動画投稿数は200万(YouTube),公式Facebookユーザーは250万人を超え,世界各地で開催される3Dコンサートでは大勢のファンを集めます。今年6月開催の「MIKU EXPO上海」では,6000枚のチケットが,発売開始後わずか10分で売り切れたといいます。これだけの人気を集めたことについて伊藤教授は「電子音楽や音声合成の技術そのものは新しいものではなかったのですが,歌声を合成する技術が生まれ,それにキャラクターを融合させたことでボーカロイドとして親近感が持たれたのでしょう」と話しました。

伊藤教授は,「初音ミク」を展開するにあたり▽ 権利をいかに開放するか(著作権関連)▽ 作品の公平な再利用をどう実現するか-が課題であったといい,「著作権については,ライセンスを作成して公表し,小中学生でも理解できるよう,分かりやすく説明しました。また,二次創作物を第三者が使用するにあたって,クリプトン社や二次創作者らの許諾をいちいち受けていたのでは負担が大きいと感じ,コンテンツ投稿サイト“piapro”を立ち上げて,非商用に限り,マナーとして創作者に感謝の意を伝えれば自由に使って良いようにしました。クリエイターたちが萎縮することなく,積極的に創作ができるような場づくりに努めました」と説明しました。

初音ミクは,二次創作,三次創作と段階を踏み,「創作のハブ」として歌や音声のみならず,ダンスやキャラクターそのもの,さらには動画,コスプレ,フィギュアなどへと,その表現方法が拡大。商品化が続き,イラスト集などの書籍,フィギュア,コンビニエンスストアとのタイアップ,レーシングチーム,ゲームといった,たくさんのコラボレーションを実現させました。商品化が実現すると,クリエイターに還元されるといった仕組みをつくったことも,世界中のクリエイターに創作意欲をわかせ,ファンが拡大していった理由のひとつといえそうです。

伊藤教授は2014年,ジャカルタを皮切りに始まった初音ミクの世界ツアー「MIKU EXPO」について触れ,上海での模様を,映像を使って紹介しました。2016年3〜4月には福岡,大阪,名古屋,札幌,東京の5都市での開催が決まっています。また,初音ミクがオーケストラ,合唱団とともに音色を響かせる,作曲家・冨田勲氏による「イーハトーヴ交響曲」北京公演の映像も披露しました。

伊藤氏は2013年4月にKCGI教授に就任しました。国際的な活動と技術革新が認められ,2013年には秋の藍綬褒章を受章されています。KCGIとKCGでは相互の授業の交流があり,お互いの授業を聴講できる仕組みがあります。KCGIにあるコンテンツビジネスコースや,KCGアート・デザイン学系,デジタルゲーム学系,コンピュータサイエンス学系情報処理科 IT声優コースなどコンテンツ関連を学ぶ学生は,伊藤教授の取り組みから学ぶことが多々あるでしょう。

「初音ミク」による日本ライブツアー「MIKU EXPO」の紹介を通じてこれまでの歩みを語る伊藤博之KCGI教授(2015年12月18日,京都情報大学院大学 京都駅前サテライト大ホール)
「初音ミク」による日本ライブツアー「MIKU EXPO」の紹介を通じてこれまでの歩みを語る伊藤博之KCGI教授(2015年12月18日,京都情報大学院大学 京都駅前サテライト大ホール)

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