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村上氏,グーグルの歩みとビッグデータなど語る

「グーグルがやろうとしていることと,ICTの新地平」と題して講演する村上憲郎氏
「グーグルがやろうとしていることと,ICTの新地平」と題して講演する村上憲郎氏

KCGグループの創立50周年記念講演会の第五弾となる,元Google日本法人社長 兼 米本社副社長/村上憲郎事務所代表の村上憲郎氏による「グーグルがやろうとしていることと,ICTの新地平」は4月13日,京都情報大学院大学 京都駅前サテライト大ホールで開かれました。村上氏は,スタンフォード大学大学院生により民家の車庫で産声を上げ,今や従業員約3万人,売上高約3兆円を誇る世界に冠たる企業に成長したグーグル社のこれまでの歩みを紹介するとともに,今後の同社の戦略,スマートテレビやビッグデータといった現在進行しているインターネットの潮流などについて分かりやすく解説しました。KCGの学生のほか,大勢の一般の方々が聴講しました。

インターネットのポータル(目次)構築をビジネスとしたヤフーが創業してから3年後の1998年,グーグル社は索引を手掛ける企業として誕生しました。村上氏はグーグルのビジネスモデルとして「世界中の情報を整理して,世界中の人が無料でアクセスできるサービスを提供しようというのが基本です。収入は広告のみ。今は多少,別の部分での売り上げは発生していますが,それでも売上高の約95%が広告収入です」と説明。「当初の設備は,いずれも社員自らが半田ごてやワイヤーラッピングを使って作ったコンピュータ。無料提供のためコストを重視するあまり,コンピュータを買うことができなかったのです」と話しました。グーグル社はインターネットの「検索エンジン」として世界で不動の地位を築き,同時にニュース,書物,位置情報(グーグルマップ・アース),YouTube買収による動画など,次々と検索の枠組みを広げていきました。このうちYouTubeは現在,世界23カ国でサービスが提供され,月間10億人が利用しているといいます。

グーグル社はクラウドコンピューティングサービス対応のためのサーバを確保するため,米国・オバマ政権の「グリーン・ニューディール政策」に乗り,同国各地にコンテナ型のデータセンターを設置。同社の現在の取り組みについて村上氏は「データセンターはコンピュータを冷やすのにかなりの電力を使いますが,『グリーン』を実現するためにはこの電力コストを低減させなければならない。グーグル社は現在,この技術を磨くとともに,太陽光,洋上風力,地熱といった再生可能エネルギーへの取り組みを始めています。同時に,スマートグリッド(賢い電力網)の研究にも余念がありません」と紹介しました。さらには,電力の消費量がインターネットで確認できる「スマートメーター」や「スマートコンセント」の商品化を,家電メーカーなどが急いでいることを付け加えました。

また村上氏は「ICTの新地平」として「スマートウオッチやスマートメガネなど,ウェアラブル(体に身につけることができる小さなコンピュータ)の出現に続き,次はスマートテレビの時代が来ている」と述べました。スマートテレビとは,従来のテレビにパソコンやインターネットの機能を加えるだけでなく,レイヤー(階層)構造を持たせた発展形とされます。「エコシステム全体を支えるレイヤーはグーグル社をはじめ,アップル社やマイクロソフト社が担当するでしょう。実は,家電メーカーが受け持つ『物理レイヤー』(ハードウェア)と,『コンテンツレイヤー』をつなぐ課金・デリバリー管理の『アプリケーションレイヤー』部分が,全く手つかず。ここに大きなビジネスチャンスが眠っています」と説明。「米国の学生がビジネスチャンスをものにしたように,次は日本の,KCGI,KCGの学生の皆さんが第二のグーグル社を目指してほしい」と呼び掛けました。ビッグデータについては「今は1.0~1.5の段階。人工知能の技術など,コンピュータに文の意味を理解させる研究が米国・国防総省で急がれています。日本でもIT融合フォーラム有識者会議が今年6月に発足し,着々と歩を進めています」と紹介しました。

創立50周年記念講演会「グーグルがやろうとしていることと,ICTの新地平」
http://kcg.edu/50th/events/グーグルがやろうとしていることと,ictの新地平/

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