メインコンテンツに移動

伊藤博之KCGI教授がハイブリッド特別講義「初音ミクから学ぶデジタルコンテンツの可能性」

「初音ミクから学ぶデジタルコンテンツの可能性」と題したクリプトン・フューチャー・メディア代表取締役・伊藤博之KCGI教授の特別講義(2022年11月11日,KCG京都駅前校・KCGI京都駅前サテライト6階大ホール)
「初音ミクから学ぶデジタルコンテンツの可能性」と題したクリプトン・フューチャー・メディア代表取締役・伊藤博之KCGI教授の特別講義(2022年11月11日,KCG京都駅前校・KCGI京都駅前サテライト6階大ホール)

世界中で人気のボーカロイド(VOCALOID)「初音ミク」の生みの親で,クリプトン・フューチャー・メディア株式会社(本社札幌市,創立1995年)代表取締役の伊藤博之・京都情報大学院大学(KCGI)教授による特別講義が,2022年11月11日(金)実施されました。毎年恒例の本特別講義は,新型コロナウイルス感染予防のため前回,前々回とオンラインで行われましたが,今回は京都コンピュータ学院(KCG)京都駅前校・KCGI京都駅前サテライト6階大ホールで万全の感染対策を講じた対面とインターネットを通じたライブ配信のハイブリッド講義。学生たちはそれぞれ希望の場所で,コンテンツビジネス第一人者の話に聴き入りました。伊藤教授は「初音ミク」誕生の経緯や成長ぶり,音声技術・ライブ技術への取り組み,国内外での幅広い活躍について映像を交え説明。講義の最後には,質疑応答時間も設けられました。

「初音ミク」は2007年8月31日に誕生したバーチャルアイドルです。歌詞とメロディを入力すると音声合成で歌ってくれるソフトウェアであり,身長158センチ,体重42キロ,16歳の人気「キャラクター」です。国内外でライブコンサートが開催され,日本文化を世界に発信するクールジャパンの象徴的存在になっています。

伊藤教授は「初音ミクから学ぶデジタルコンテンツの可能性」と題した講義で,クリプトン社の事業を紹介したうえで音楽とテクノロジーの関係と歴史,コンピュータ・ミュージックについて解説しました。そして「バーチャル・インスツルメントは,コンピュータにインストールして楽器の音をシミュレーションするソフトウェアです。人間の歌声も『楽器』。ボーカロイドはヤマハが開発した歌声合成技術で,それを活用して当社が製品化したのが『初音ミク』です。それまで存在しなかったキャラクターを付ける試みをしました」と説明しました。

キャラクター化が奏功し,音楽だけでなく「初音ミク」のイラストやCG,コスプレなどを創作してインターネットに投稿する人たちが次々に現れ,創作の連鎖が世界中に広がりました。伊藤教授は「そうなると原著作物,二次的著作物の権利処理が煩雑になるという課題が起きます。当社は二次創作をなるべく円滑にすることに取り組みました」とし,権利処理のためライセンスを公開するとともに,コンテンツ投稿サイト「piapro(ピアプロ)」を開設して,創作が生まれやすい環境を整えた経緯とその仕組みを詳しく説明。「創作の連鎖が無断使用の連鎖ではなく,使ってくれてありがとうという感謝の気持ちの連鎖にしていくことが重要と思っています」と語りました。

「初音ミク」は誕生から15年が経ち,大勢のクリエイターによる二次創作・三次創作の結果,歌や音声にとどまらず,ダンスや動画,コスプレ,フィギュアなどへと表現形態は多様化しました。新開発技術の活用によって成長し,表現力,歌唱力もどんどん豊かになり,ファッションやオペラ,ゲーム,和太鼓,歌舞伎,テレビの人気アニメキャラクターとのコラボレーションによって,活動フィールドは広がる一方です。伊藤教授は「デジタルコンテンツは,たくさんの方が使えば使うほど価値が増えます」と,コラボレーションの重要性を指摘しました。

コロナ禍でも「初音ミク」は活躍中です。公演やイベント出演がめじろ押しで,2013年から毎年開催されている3DCGライブと創作の楽しさを体感できる企画展のイベントは,2022年は「初音ミク『マジカルミライ』10th Anniversary」として8月に大阪市,9月に千葉市で開催されました。2023年2月4日~5日には初めて札幌市でもライブが開催されます。中村獅童さんと共演する「超歌舞伎」は前年に続き9月に京都・南座で上演されたほか,8月に福岡・博多座,名古屋・御園座,8月から9月にかけて東京・新橋演舞場に,それぞれ初お目見えしました。ボーカロイドやボカロP,歌い手にスポットを当てた5月放送のNHK特別番組「夜光音楽スペシャル ボカロフェス2022」にも出演しました。海外版マジカルミライともいえる「MIKU EXPO」は,コロナで世界ツアーを見合わせ中ですが,2022年6月にはこれまでの公演の総集編を世界配信する「MIKU EXPO Rewind」が開催されました。商品展開も相次いでいて,初音ミク誕生15周年に当たる2022年はコラボグッズが続々登場。セイコーが「初音ミク×SEIKO 15thAnniversary ウオッチ」,ヤマハはモニタースピーカー・ギターアンプ・ボーカロイドキーボード用ケースの「初音ミク15周年記念モデル」を発売しました。セガプライズはゲームセンターのアミューズメント専用景品として「『初音ミク15thAnniversary』プライズ」を登場させました。

伊藤氏は,2013年4月にKCGI教授に就任しました。同年秋には国際的な活動と技術革新が認められ,藍綬褒章を受章しています。KCGIとKCGには相互に授業を聴講できる仕組みがあります。KCGIのコンテンツビジネス関連を学ぶ学生だけでなく,KCGのアート・デザイン学系,デジタルゲーム学系,コンピュータサイエンス学系情報処理科IT声優コースなどコンテンツ関連の学生たちも,伊藤教授の取り組みから多くを学ぶことができます。

KCGI,KCG,京都自動車専門学校のKCGグループは新型コロナウイルスの感染状況を総合的に判断し,2022年度秋学期は,授業・講義を原則としてハイブリッド形式(学生は教室またはオンラインのいずれでも受講が可能)とし,学校行事はサイバースペースを併用して実施しています。

伊藤教授は,バーチャルアイドル「初音ミク」誕生の経緯や成長ぶり,音声技術・ライブ技術への取り組み,国内外での幅広い活躍などについて映像を交え説明しました
伊藤教授は,バーチャルアイドル「初音ミク」誕生の経緯や成長ぶり,音声技術・ライブ技術への取り組み,国内外での幅広い活躍などについて映像を交え説明しました

2023年のニュース

2022年のニュース

2021年のニュース

2020年のニュース

2019年のニュース

2018年のニュース

2017年のニュース

2016年のニュース

2015年のニュース

2014年のニュース

2013年のニュース

2012年のニュース

2011年のニュース

2010年のニュース

2009年のニュース

2008年のニュース

2007年のニュース