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私は,富士通で約10年間,汎用機のオペレーティング・システム(通信機能)の設計・開発・保守に従事しました。顧客である銀行のATMで給料を引き出す度に,自分の手掛けたプログラムが正常に動作していることに感動と安堵を覚えたものです。その後,経営コンサルティング・ファームに転職しました。動機は,当時,汎用機を発明し,エクセレント・カンパニーと称賛された企業に自社がなかなか追いつけないのは,経営戦略に不備があるからだ,と若気の至りで考えたのです。結果的に,コンピュータを作る仕事と,経営ツールとしてコンピュータを使う仕事の両方を経験してきました。
現在,日本のコンピュータ・メーカーは汎用機から撤退しています。ハードウェアの主役がPC・サーバー,そしてスマホに移ったためです。そして,昔日のエクセレント・カンパニーは,盟主の座をMS社に譲り,新興GAFAの後塵を拝しています。これらのことから;
- ITは目覚ましい進化を続けており,今後も,新たなプラットホームやそれに伴うビッグビジネスが誕生する可能性が高い
- ITビジネスの主戦場は,堅実なBtoB(対企業)マーケットから,リスキーだが広大なBtoC(対一般消費者)マーケットへ移り,いわゆる「下剋上」が起きやすい
- 以前のエクセレントカンパニーは,経営論でよく言われる「成功の呪縛」に囚われ,この変化の波にうまく乗れなかった
と考えられます。
本学は,このようにダイナミックに発展する「IT」とグローバルに見て最もエキサイティングなITビジネスに関する「経営」の両方を学べる大学院です。両分野で培った私の知識と知恵が,ITプロフェッショナル人材を目指す皆さんのお役に立てるよう,支援を惜しみません。